今回の発表でいつもと違う点は、検挙者における生活保護受給者の占める割合が把握され、発表されたことだと、報じられています。
その理由について、毎日新聞は、「不正受給」を、朝日新聞は「貧困ビジネス」をキータームとして挿入することによって伝えようとしていました。
読売新聞は、発表数字の伝達に限定したように思えます。
覚醒剤取締法違反 大麻取締法違反 検挙数 | |
大阪府下 | 2,881 |
あいりん地区内 | 493 |
あいりん割合 | 17.1% |
この数字が多いか少ないか、他地区、たとえば、梅田とか日本橋とかでの検挙状況が判らないので、判断しにくいのですが、日常見かける売人の姿からすれば、もう少し多くても不思議ではない気がします。
あいりん地区内 検挙者内訳 | |
客 | 449人 |
密売人 | 44人 |
合計 | 493人 |
あいりん地区内 検挙者居住地 | |
大阪府内 | 340人 |
大阪府外 | 153人 |
合計 | 493人 |
あいりん地区内 検挙者年代別 | |
50歳代 | 82人 |
40歳代 | 150人 |
30歳代 | 143人 |
20歳代 | 48人 |
小計 | 423人 |
上記以外 20歳未満 60歳以上 | 70人 |
合計 | 493人 |
あいりん地区内 検挙者年職業別 | |
無職 | 299人 |
会社員 | 28人 |
工員 | 28人 |
小計 | 355人 |
その他不明 | 138人 |
合計 | 493人 |
あいりん地区内 検挙者再初別 | ||
再犯 | 初犯 | |
客 | 221人 | 228人 |
密売人 | 13人 | 31人 |
合計 | 234人 | 259人 |
総数 | 生保 | 生保% | |
客 | 449人 | 137人 | 31% |
密売人 | 44人 | 8人 | 18% |
計 | 493人 | 145人 | 29% |
この中で、あいりん地区内で生活保護を受給中の人数や大阪市以外で受給中の人数は不明です。
あいりん地区には生活保護受給者が多い(おおざっぱいってに9000人)ことが知られていますが、その中の何人が検挙者の中に含まれているかどうか不明です。9000人の中の最大145人最小0人の間であることは確かでしょうが・・・。
覚醒剤の売買が良くないことであることは、日本と言わず、多分世界共通だと思います。あいりん地区だけのことではない。
問題は、あいりん地区が全国に知れ渡った販売拠点になっていることです。そのことを、あいりん地区に特化した大阪府警本部の発表は示しています。警察のなおいっそうの取り締まり強化が必要です。
また、困窮の事実に基づいて生活保護を受給している人の中には、覚醒剤の依存症によって経済的困窮にいたり、生活保護受給となった人もいます。そのことを生活保護制度運用者は良く認識し、覚醒剤の再使用に至ることがないよう依存克服プログラムを準備する必要があることも示しています。
生活保護受給者が「もう、人生の終わり」と投げやりな気持ちにとらわれないような環境作りも必要だと思います。
新聞を読んでの感想でした。
なお、表は読売新聞記事中パーセントで示されていたものに基づいて作成しました。ですから、警察発表の元数字とは、1人はずれている可能性があります。