2011年01月21日

2010年「あいりん地区」覚醒剤検挙者数

 1月20日大阪版の朝日・毎日・読売の各朝刊に、大阪府警本部が発表した、あいりん地区内における覚醒剤・大麻取り締まり違反で昨年1年間の検挙状況が掲載されていました。
 今回の発表でいつもと違う点は、検挙者における生活保護受給者の占める割合が把握され、発表されたことだと、報じられています。
 その理由について、毎日新聞は、「不正受給」を、朝日新聞は「貧困ビジネス」をキータームとして挿入することによって伝えようとしていました。
 読売新聞は、発表数字の伝達に限定したように思えます。
 
覚醒剤取締法違反
大麻取締法違反  検挙数
大阪府下 2,881
あいりん地区内 493
あいりん割合 17.1%
 大阪府警察本部のホームページで、昨年1年間の覚醒剤・大麻取り締まり違反の検挙総数を見ると、2,881件となっています。そのうち493があいりん地区ですから、17.1%を占めていることになります。
 この数字が多いか少ないか、他地区、たとえば、梅田とか日本橋とかでの検挙状況が判らないので、判断しにくいのですが、日常見かける売人の姿からすれば、もう少し多くても不思議ではない気がします。
あいりん地区内
検挙者内訳
449人
密売人 44人
合計 493人
 
あいりん地区内
検挙者居住地
大阪府内 340人
大阪府外 153人
合計 493人
 あいりん地区内で検挙されたものが、すべてあいりん地区の居住者であると言うことではないようです。
あいりん地区内
検挙者年代別
50歳代 82人
40歳代 150人
30歳代 143人
20歳代 48人
小計 423人
上記以外
20歳未満
60歳以上
70人
合計 493人
 年代も30歳代、40歳代が多い。あいりん地区は単身男性が多く、平均年齢は50歳代後半だと推計されていますから、この構成年齢は地区の構成年齢比とはかけ離れていると考えられます。
あいりん地区内
検挙者年職業別
無職 299人
会社員 28人
工員 28人
小計 355人
その他不明 138人
合計 493人
 職業は無職が多い。
あいりん地区内
検挙者再初別
再犯 初犯
221人 228人
密売人 13人 31人
合計 234人 259人
 覚醒剤は、依存性が高く、再犯が多い。
総数 生保 生保%
449人 137人 31%
密売人 44人 8人 18%
493人 145人 29%
 検挙者の中に占める生活保護受給者、客・密売人の双方に見られますが、客の方に多いようです。
 この中で、あいりん地区内で生活保護を受給中の人数や大阪市以外で受給中の人数は不明です。
 あいりん地区には生活保護受給者が多い(おおざっぱいってに9000人)ことが知られていますが、その中の何人が検挙者の中に含まれているかどうか不明です。9000人の中の最大145人最小0人の間であることは確かでしょうが・・・。
 覚醒剤の売買が良くないことであることは、日本と言わず、多分世界共通だと思います。あいりん地区だけのことではない。
 問題は、あいりん地区が全国に知れ渡った販売拠点になっていることです。そのことを、あいりん地区に特化した大阪府警本部の発表は示しています。警察のなおいっそうの取り締まり強化が必要です。
 また、困窮の事実に基づいて生活保護を受給している人の中には、覚醒剤の依存症によって経済的困窮にいたり、生活保護受給となった人もいます。そのことを生活保護制度運用者は良く認識し、覚醒剤の再使用に至ることがないよう依存克服プログラムを準備する必要があることも示しています。
 生活保護受給者が「もう、人生の終わり」と投げやりな気持ちにとらわれないような環境作りも必要だと思います。
 新聞を読んでの感想でした。
 なお、表は読売新聞記事中パーセントで示されていたものに基づいて作成しました。ですから、警察発表の元数字とは、1人はずれている可能性があります。
posted by kamamat at 09:59| 日記